新しい可能性につながる「フードドライブ」の活動
ディーンさんが声を演じるウィフは、スクラップから新しい発明品を作り出す、サステナブルなタンク機関車。「『スクラップがリサイクルされて使われる。それってサイコー!』というせりふがあって、ゴミになってしまう可能性があるものを新しい発明につなげる知恵やひらめきを持ったキャラクターです」とその魅力を語ります。「トーマスたちよりも年季が入った機関車なので、積み上げた時間の重みで鈍い感じにならないように、明るく未来に広がっていくイメージで、みんなの励みになるようなキャラクターになるといいなと思って演じました」
自身も、家庭で余った食品を持ち寄って地域の福祉団体やフードバンクなどに寄付する「フードドライブ」に精力的に携わり、新しい可能性を生み出す活動をしているところが役柄と共通します。
ディーンさんが、フードドライブに本格的に取り組むようになったのは、2016年8月の誕生日ライブ「FamBam Birthday Bash」が発端。自身のファンクラブ「FamBam」の会員に呼びかけ、「僕の誕生日を祝ってくださる気持ちを、家で余っている食品を寄付していただくという形でバースデープレゼントとして受け取って。必要な人に届ける活動を始めました。自分の誕生日が、そういう循環が生まれる記念日になったので、本当にありがたいことだと思っています」。
日常でのフードロス対策は冷蔵庫のプランニング
以降、21~23年にも「FamBam」主催でフードドライブを実施。SDGsの一環としてフードロスへの関心も高まるなか、ディーンさんのフードドライブの活動は大きなムーブメントになり、これまで約7.4トンもの食品が集まりました。一方で、自身がフードロスをしないために日ごろから意識していることについてきくと、「食べ物を無駄にしたくないという意識は常に持っていますね。出しっぱなしにして腐らせないように、飲みかけの飲み物にはふたをする、食べかけのものはラップをして冷蔵庫や冷凍庫に入れる。最後まで消費できるように、冷蔵庫のプランニングもしています」とディーンさん。
「とはいえ、急に徹夜の仕事が入ったり、帰ったら寝るだけの生活が続いて冷蔵庫に手がつけられないまま1週間たってしまうこともあります。だれかが食べてくれればその人の栄養になるからいいですけど、無駄になるのはもったいないので、食べ物を必要な場所に循環させられるフードドライブの概念ってすごくいいなとあらためて思います」
「トーマス」の作品も、物語に環境問題を取り入れるなど、いち早くSDGsの促進に取り組んでいます。
「この映画でも、SDGsやダイバーシティのことがさりげなくこめられつつ、トーマスたちが冒険に向かう勇気やわくわくする気持ちが描かれていますが、多様な考えを理解して受け入れることや何かに挑戦するには、まずは自分が安全で健康であってこそだと思います。社会の流れから脱落してしまったり、その流れに乗れないような生い立ちで育つ子どもたちにとって、最低限のライフラインを確保するために、自分が貢献できることをライフワークにしていきたいと思っていますし、その支援は自分が属する社会のため、ひいては自分に返ってくると感じています」
ディーンさんの〈冒険〉エピソードはこちら!
◇ディーン・フジオカさん
1980年、福島県生まれ。2004年に香港でモデル活動を始め、05年、香港映画「八月の物語」の主演に抜擢され俳優デビュー。2006年に活動拠点を台北に移した後、11年から日本で活動を開始する。以後、アジア圏で幅広く活動。15年NHK連続テレビ小説「あさが来た」の五代友厚役が話題となり、17年にエランドール賞新人賞、19年に映画「空飛ぶタイヤ」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。声優としては21年の劇場アニメ「フラ・フラダンス」に続いて、本作が2作目となる。
「映画 きかんしゃトーマス 大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル」
2024年4月19日(金)、全国ロードショー。
トーマスとパーシーは、古い鉱山で貨車が消えたり、トンネルから声が聞こえたり、地面がグラグラ揺れたり、不思議な体験をする。その謎を解くため、トーマスたち「大大大冒険クラブ」が、冒険の旅に出発! ディーンさんは、トーマスたちの謎解きに重要なヒントをくれるウィフ役として出演。お笑い芸人のやす子さんもゲスト声優として参加している。
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