〈きかんしゃ役〉のこだわりと新たなチャレンジ
ディーンさんが声を演じるのは、リサイクル工場で働く「ウィフ」という名のタンク機関車。声優の仕事は二度目ですが、キャラクターを演じるのは今回が初めて。「こんなに硬いモノを演じる日が来るとは思いませんでした(笑)。でも、人間ではないぶん、逆に自由に演じられたかな。僕が演じているというよりも、『ディーン・フジオカ、どこにいた?』と思われるくらい、ウィフというキャラクターが必要としている声の表現ができたらいいなと思って演じました」
世界200以上の地域で放送されている「きかんしゃトーマス」。ワールドワイドに活動するディーンさんらしく、まずはオリジナルの英語版を見てからアフレコに挑んだそう。
「アニメの動きに合わせて英語で作られたせりふの時間枠に、日本語でかつ生き生きとキャラクターを表現するのに苦戦しました。声のトーンや、スピード感、音量の強弱などを、楽譜や決まったリズム、小節数がない中で合わせていくので、なかなか技術がいるお仕事だと思いました。だからこそ、楽しいチャレンジでしたね」
また、「『トーマス』は自分の子どもたちもよく知るキャラクターなので、いつもの仕事とは違う形で作品が子どもたちに届くチャンスなのかなと思っています」と言い、「ふだん活動している中では出ないような声を演じるきっかけをいただいたので、そこに注目していただけたらうれしいです」とアピール。
「僕自身もこの作品を見て、引き込まれて止まらなくなる感覚があって。アニメの力ってすごいなとあらためて思いました。そんなふうに集中している状態は、子どもにとって貴重な体験だと思います。ぜひ親子で引き込まれて、トーマスの世界観を堪能してほしいです」
「やりたいと思う衝動に正直に向き合ってきた」
今作で描かれるのは、トーマスと仲間たちの〈冒険〉ストーリー。国内外で精力的に活躍するディーンさんですが、自身についても「国を変えて生活のベースを変えながら仕事をしてきたことは大冒険だなと思います」と語ります。「言語や文化圏をまたいでいくことは、メンタル的に過酷なチャレンジ。去年ジャングルで海外の映画作品の撮影をしたのは、自分史上に残るくらい物理的に過酷なチャレンジでしたね。そういうチャレンジをやり遂げるために何か深く考えるというよりは、命を守るための最低限のライフラインを確保して、あとは『やりたい』という衝動に正直でいることを意識しています。そこに向き合えなくなると成長が止まってしまうと思うし、後悔すると思うので」
「でも『トーマス』が好きなお子さん世代は、冒険というよりは、まだまだお父さん・お母さんといっしょに行動する時期ですよね」と話す一方で、大人になって「もし何かやりたいことがあってアドバイスを求めてきたら、アドバイスをしてほしい相手だと思ってきいてくれていると思うので、大人としては真剣にこたえたいですよね。だからこそ、そのアドバイスをストレートに受け取って自分の人生に生かしてほしい。思い込みの激しさや変に頑固な部分は、人の成長を止めてしまうなと思うので」とディーンさんらしい言葉で語ってくれました。
ディーンさんのフードロス対策は?
◇ディーン・フジオカさん
1980年、福島県生まれ。2004年に香港でモデル活動を始め、05年、香港映画「八月の物語」の主演に抜擢され俳優デビュー。2006年に活動拠点を台北に移した後、11年から日本で活動を開始する。以後、アジア圏で幅広く活動。15年NHK連続テレビ小説「あさが来た」の五代友厚役が話題となり、17年にエランドール賞新人賞、19年に映画「空飛ぶタイヤ」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。声優としては21年の劇場アニメ「フラ・フラダンス」に続いて、本作が2作目となる。
「映画 きかんしゃトーマス 大冒険! ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル」
2024年4月19日(金)、全国ロードショー。
トーマスとパーシーは、古い鉱山で貨車が消えたり、トンネルから声が聞こえたり、地面がグラグラ揺れたり、不思議な体験をする。その謎を解くため、トーマスたち「大大大冒険クラブ」が、冒険の旅に出発! ディーンさんは、トーマスたちの謎解きに重要なヒントをくれるウィフ役として出演。お笑い芸人のやす子さんもゲスト声優として参加している。
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