





おねしょはしかっても治らない
卒入園、入学、進級……。環境が変わる春は、おねしょの相談が増える時期です。子どもがおねしょをすると、ついしかったりイライラしてしまうこともありますが、それは逆効果。おねしょは無意識のことであり、しかっても改善するものではありません。大切なのは、子どもが安心して過ごせる環境をつくること。「大丈夫、そんなこともあるよ」と広い心で受け止めると、子どもも落ち着きます。また、「昨日は寝る前にトイレに行ったから、おねしょしなかったね」など、小さな成功をほめることで自信につながります。
とはいえ、眠い真夜中や忙しい朝におねしょの後始末をするのは大変で、イライラしてしまうのも当然です。「早くオムツを卒業しなければ」とあせらず、必要に応じて紙オムツを使うなど、親がストレスをためない工夫をすることも大切です。
早寝早起き、夜は水分を控えて
おねしょ卒業に向けて、まず取り組みたいのは生活習慣の見直しです。早寝早起きは基本ですが、水分のとり方がポイント。夜の水分は、寝る2時間前までにコップ1杯程度にとどめるようにしましょう。子どもが寝る前に必ずトイレに行けば、基本的に寝ている間に起こす必要はありません。布団に入ってから30分たっても眠れない時は、もう一度お手洗いに行くと良いでしょう。また、便秘があると膀胱が圧迫され、尿をためる量が減り、おねしょにつながることがあります。医療機関では、夜尿症の治療の前に便秘を改善することが推奨されています。家庭でできる便秘対策については、こちらの記事も参考にしてください。
家庭での便秘対策>>
生活習慣の見直しを1~2カ月続けることで、おねしょの改善が期待できますが、改善が乏しい時は、薬物療法、アラーム療法をします。
病院に相談、気軽にしてみて
おねしょが気になる場合は、病院に相談するとよいでしょう。受診の目安は 「5歳以上で、月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合」 です。この状態は「夜尿症」と診断されることがあり、治療によって改善するケースが多くあります。夜尿症は自然に治ることもありますが、小学校低学年のうちに積極的に受診するとよいでしょう。夜尿が続くことで自尊心が低下することが報告されています。そのため、早めの対応が推奨されます。
また、5歳を過ぎても日中に尿がもれてしまう場合や、下着が常にぬれている場合 は、他の病気が関係している可能性があるため、必ず受診しましょう。
小学校の宿泊研修など、泊まりがけの行事を控えて受診するケースも多いですが、治療には時間がかかることが多いため、できれば半年前、遅くとも行事の2~3カ月前には受診するのが望ましいです。

監修/工藤紀子
小児科医・医学博士、保育士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。アメリカにて子育てを経験。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。 https://noriko-kudo.com/

作/(キモト)
准看護師免許を持つ漫画家。「子どもたちに健康と元気を届けたい」という思いで、子どもがかかりやすい病気や、体のことについてユーモラスなキャラクターで紹介している。「親子で一緒に学んで、病気に負けない強い体づくりを日頃から心がけてほしい」。
公式サイト:「なおせ!トリートマン」
X:https://twitter.com/136teatman
