8月13日 荷物の多い季節

これが脱水症状?
  夏も盛り。長時間外出するときは、ペットボトルをバッグに入れます。あらかじめ氷らせておいたのを冷凍庫から出して。自分でブレンドした特製の水。
  「これが脱水症状?」というものを、昨年の夏経験した。ジムで張りきって運動し、汗をたくさん流した後、風呂で頭を洗いはじめたあたりで。運動後しばらく経つのに脈拍がやたらに速い。そしてとてつもなくだるい。タイルの床にそのまま寝そべってしまいたいほど。体を立てていると、ぐらぐらと目が回るよう。
  「裸で倒れるわけにはいかない」。その一念で踏ん張って泡だけすすぐと、髪を乾かすのもそこそこにして、這うように帰宅した。
  後で調べると脱水症状そのものだ。周囲が水だらけのところでそうなるとは。 
年をとるだけでハイリスク
  知れば知るほど身震いがした。まず加齢そのものが、脱水症状のリスクを高める。体内の水分そのものが若い頃より少ないという。
  ジムで体脂肪計に乗るたび私は、筋肉量が標準より少なめ、体脂肪率もふつうの下限値かやや少なめ。
  「筋肉も脂肪も少ないなら、私の体の多くは水でできているわけか」
と考えていたが甘かった。
  また年をとると、渇きを感じにくくもなるそうだ。たしかにそれまでの私には、ペットボトルを持ち歩く習慣はなかった。
  「砂漠を行くわけではないのだし、飲みたくなったら自販機もコンビニもある」
  と考えていたがそれも甘かった。ジムの館内放送で「水分は十分から十五分に一回、喉の渇きを感じる前にとりましょう」としきりに呼びかけている理由が、はじめてわかった。
  さらなる落とし穴も。脱水症状のとき水だけをがぶ飲みすると、体内で一定の濃度に保たれていないといけない電解質が薄まって、ますます危険だとのこと。そのためにスポーツドリンクがあったのだ。でも甘みが、私には好みでなく、そこで特製ドリンクを作ることにした。
特製ドリンクを持ち歩く
  特製といっても簡単。塩と酢各少々を水に加えて混ぜただけ。塩分と、疲労回復効果のあるクエン酸とを、手っ取り早くとれる。氷らせるのは、暑さでぬるま湯状態になると味がいまひとつなのと、溶けた分だけ少しずつとり、がぶ飲みを防ぐため。
  液体は氷らせるとなんとなく重く感じる。ボトルの外側には水滴がつき、バッグの中が濡れるので、ビニール袋にくるんでから入れ、拭くための小さなタオルもハンカチの他に持っていく。
  他もバッグの中には、冷房の効いたところではおるカーディガン、車内が寒そうなときは首に巻いたり膝に掛けたりするスカーフ類。それに日傘と、夏は荷物が多くなる。その上、生きていくのに必要な水分と栄養素とを補給するドリンクを入れたボトルまで。ママバッグ並み?
  紫外線対策も適当で、温度とか電解質の濃度とかの調節にはまったく無頓着でいた頃の身軽さが、信じ難い。
  日傘をさし、大きなバッグを肩にさげ、ますます暑い夏なのです。
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イラスト/松尾ミユキ 人物写真/安部まゆみ