- 軽井沢へお祝い事の会に行きました。とある俳句会の三十五周年記念。五百人以上が集まる大パーティーで、そこで私は高齢者パワーを目の当たりにすることになったのです。
俳句と私の関わりから書きはじめると長くなるので、別の機会にするとして。パーティーの熱気を伝えるには、会のしくみを説明しないと。会員は俳句を趣味とする人たち。会員になると、会の発行する月刊誌に自分の句を投稿したり、会の中心である俳句作家の先生の指導を受けたりできる。大きな会では全国に支部がある。別の俳句会の先生方もお祝いにかけつけるので、多数の人が臨席するパーティーになるのです。会員ではない私も、仕事上のつながりで参列。
- 来賓には、なんと九十歳の男性もいた。奈良からひとりでいらしたとのこと。長旅に耐えられる体力もさることながら、段取り力とでもいうべきものに驚嘆する。奈良から軽井沢なんて乗り換えが複雑そう。それを全部頭に入れ、何時の飛行機に乗るためには何時には空港に着いて……と逆算し、間違いなく行動に移せるなんて。すごい!
二次会では各支部による余興が披露された。とある支部は、仮装してのリンボーダンス。音楽に合わせて踊りながら、上体を反らせてバーをくぐる競技です。年齢別対抗で、五十代、六十代、七十代、八十代。ステージに並んだ顔を見比べると、五十代はフェイスラインが少々たるんでいても肌はつるつる、表情もなんだか幼い。「五十代なんて、まだまだ若僧」と感じてしまった。
- 三次会になだれこみ、そこでもパワーは衰えず、日付の変わる時間近くなってもまだ、各テーブルで皆さん喋る、喋る。会の中心の男性の先生も、朝から記念行事の連続、二次会では自らも歌舞伎の役柄に扮したり落語を演じたりと休みなしの大活躍。年齢上の区分でいえば、まぎれもない後期高齢者なのに、このエネルギー、どこからわいてくる?
三次会で私と同じテーブルにいらした、もうすぐ八十の女性の先生は少々酔った口調で語っていた。昔は女性が外でお酒を飲むなんて考えられず、私もずっと控えてきた、六十になったらふっきれた。
「いくつに戻りたいかって聞かれたら、迷わず六十。二十代とか三十代なんてしんどくて、もうもうたくさん。六十歳からがいっちばんいい」 年齢に対する意識が変わった、軽井沢の夜でした。