






百日咳が流行中! 小さな子どもは特に気をつけよう
昨年(2024年)から今年(2025年)にかけて、百日咳という病気が流行しています。とくに、小さなお子さんは症状が重くなりやすいので、注意が必要です。百日咳の予防には、予防接種がとっても大切! 生後2カ月になったら、早めに5種混合ワクチンを接種しましょう。これは、2024年4月から始まった新しい定期接種のワクチンで、これまでの4種混合ワクチンにヒブワクチンが加わったものです。
じつは、乳幼児期のワクチン接種で得られた百日咳への免疫は、小学校に入るころには少しずつ弱まってしまうことがわかってきました。実際に、最近の調査では、百日咳にかかる患者さんの多くが小学生になっています。
そこで、日本小児科学会では、小学校に入る前(5〜6歳ごろ)と11〜12歳ごろに追加のワクチン接種をおすすめしています。
●小学校に入る前(就学前):MRワクチンやおたふくかぜワクチン(任意)といっしょに、百日咳を含む3種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)の接種をおすすめ
●11〜12歳ごろ:定期接種の2種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)の代わりに、百日咳を含む3種混合ワクチンを任意で接種すると、百日咳への免疫も得られ、より安心
3種混合ワクチン※は、一部自己負担となる場合がありますが、お子さんを百日咳から守るためにぜひ検討してみてください。
※3種混合ワクチンに対して助成金を出している市区町村もあるため、お住まいの自治体に問い合わせてみてください。
妊婦さんも要注意! 赤ちゃんを守るために
百日咳は、特に乳幼児期に重症化しやすく、命に関わることもあるため、生まれてくる赤ちゃんをこの危険な感染症から守るためには、妊婦さんご自身の予防が極めて重要です。妊婦さんが百日咳にかかってしまうと、残念ながら生まれたばかりの赤ちゃんに病気をうつしてしまう可能性があります。新生児や乳児が百日咳を発症すると、呼吸困難や無呼吸発作、肺炎、脳症などを引き起こし、入院や集中治療が必要となるケースも少なくありません。最悪の場合、幼い命が失われることもあります。
一方で、大人が百日咳にかかった場合、典型的な激しい咳が出ないことも多く、風邪と間違えやすい傾向があるため、ご自身が百日咳だと気づかないうちに、抵抗力の弱い赤ちゃんに感染させてしまうリスクがあるのです。
こうしたリスクを避けるために、妊娠中に百日咳のワクチン接種を受けることが推奨されています。
妊婦さんがワクチンを接種することで、百日咳に対する「抗体」が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。この抗体は、赤ちゃんが百日咳にかかるのを防いだり、たとえかかっても重症化を抑制したりする効果が期待できます。この「パスティブ免疫」と呼ばれる効果は、生後間もない赤ちゃんを守る非常に有効な手段です。特に、妊娠27週から36週頃に接種することが、赤ちゃんへの抗体移行を最大限に高める上で最も効果的とされています。
現在のところ、百日咳ワクチンを含む3種混合ワクチンの接種は自己負担となりますが、その重要性から近年、妊婦さんからの問い合わせが非常に増えています。
気になる方はぜひかかりつけの医師に相談してくださいね。
参考資料
百日咳の流行状況について(東京都感染症情報センター)就学前の追加接種に関する日本小児科学会の見解(日本小児科学会)
妊婦への百日咳ワクチン接種に関する提言(日本産科婦人科学会)

監修/工藤紀子
小児科医・医学博士、保育士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。アメリカにて子育てを経験。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。 https://noriko-kudo.com/

作/(キモト)
准看護師免許を持つ漫画家。「子どもたちに健康と元気を届けたい」という思いで、子どもがかかりやすい病気や、体のことについてユーモラスなキャラクターで紹介している。「親子で一緒に学んで、病気に負けない強い体づくりを日頃から心がけてほしい」。
公式サイト:「なおせ!トリートマン」
X:https://twitter.com/136teatman
