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『世界は君のもの』刊行記念インタビュー パーツモデル・美容家 金子エミさん 「ダウン症児を育てるって、ひと言で言えば“普通”です」

6~10月の毎週土曜日に「オレンジページ★デイリー」にて配信された『世界は君のもの』。パーツモデル・美容家として知られる金子エミさんと、ダウン症の息子・カイト君の真実の物語は、世のママたちを勇気づけ、おたよりもたくさん頂きました。今回は『世界は君のもの』書籍化を記念し、金子エミさんに子育てについてお話を伺いました。

このまんがに出てくる私って、全然大変そうじゃない。でもそれが真実なんです。 エミさんにとってはじめての子であるカイト君がダウン症だと気づき、「人生終わった」と思うところからこのまんがは始まります。

金子エミさん(以下、エミ)
あのとき、当時のマネージャーに「ダウン症の子だって普通よ」と言われなかったら、私はモデルをやめ、もっと自分を追い込んで深刻になっていたと思います。あの一言で救われましたが、それでもカイトを「可愛い」「育てていける」と思えるまでには数ヶ月かかりました。
だけど、『世界は君のもの』を通して自分の子育てを振り返り、思ったのは「私って全然大変そうじゃないな」ってこと(笑)。でもそれが本当の姿なんだと思うんです。たしかにダウン症の子は心臓や気管支が弱いことが多くて、定期的な検診は必要です。カイトは知的障害もあり、自閉傾向もあるので、言うことをきかないときもある。でも、親の思い通りに育てようとするのは健常児であっても間違ってると思うし、子どもの健康を心配するのも、当たり前のこと。だから私、カイトを育てることを特別大変だと思ったことないんですよね。

最近は羊水検査などで子どもがダウン症か事前に調べることもあると思います。産む・産まないは他人が口を出すことではありませんが、「ダウン症の子を育てるのって思ったより大変じゃないよ」ということが、このまんがで伝わればいいなあと思います。それに、今カイトは19歳ですが、毎日ハグしてくれ、手をつないでくれます。普通の子だとそうはいきませんよね。これって幸せなことだよなあって思うんです。
子ども達の「これ、やりたい!」は、全力で応援しようと決めています。
まんがの中で、エミさんはカイトくんの水泳の才能に気づき、自身も水泳を始めたり、ダウン症専門コーチを探したり、カイトくんを懸命にバックアップします。

エミ 「障害児だから何も出来ない」と思いがちですけど、どんな子だって「これが好き」「これやりたい」って気持ちを必ず持ってるんです。私は子どものその気持ちを大切にしたい。「これやりたい」っていう気持ちって初恋と同じ。初恋を全否定してしまったら、その後の恋にも臆病になるでしょ。やってみてダメだったら、やめればいい。子ども達には自分の意思をもって人生を進んでほしいんです。そのほうが生きることを何倍も楽しめるから。それは障害があってもなくても同じことですよね。
ダウン症世界水泳のユニフォームを着てポーズをとるカイトくん。

ただ、カイトは自分の気持ちをうまく伝えられないところがあるので、本当に水泳がやりたいのかな? 私がやってほしいと思っているだけかも、という迷いはありました。だから、世界水泳を終わって、カイトが、「世界水泳、大好き!」と言ってくれたときにはホッとしました。
働きながらの子育て。
どっちも完璧なんて、ムリに決まってます!(笑) パーツモデルで美容家でもあるエミさん。仕事をしながらの育児は大変だったと思いますが、働くママへ、アドバイスを送るとしたら……。

エミ  まんがの中でも出てきますが、美容家として忙しくなってきたときに、夫が6年間単身赴任していまして。あのときは、自分でもよく頑張ったと思います。夫もそう思ったみたいで、このまんがを読んでから心なしか優しいですよ(笑)。

アドバイスなんておこがましいんですけど……私は仕事も育児も家事も、「全部を完璧にするのはムリ!」って割り切っていました。優先順位もひとつに決めずに、その時々で今日は仕事優先、今日は育児優先って変えてましたね。自分への決め事に縛られるのってつらくて。
 
あと、親が全部抱え込まなくてもいいのかなって。カイトには弟のリオがいるんですけど、突然姿を消すカイトから目を離せなくて、どうしてもリオのことは後回しにしがち。そういうときは「ママのからだ、一個しかないからちょっと待ってね!」と説明していました。きちんと話せば子どももわかってくれて、助けてくれる。私、親の威厳ゼロなんですよ(笑)。今朝も、朝の準備に追われて立ったままパン齧ってたら、カイトに「ママ、座って食べなさい」って叱られちゃいました(笑)。
ダウン症って「かわいそう」じゃない。それが伝わればいいな。
『世界は君のもの』で一番伝えたいことはなんですか。

エミ ダウン症って「かわいそう」じゃないんだよってことかな。カイトも、他の周りのダウン症の子も、みんな笑顔がすっごく可愛いんです。優しくて明るくて、面白い。彼らは自分のことを「かわいそう」って思ってないんです。ダウン症児のママだって「かわいそう」ではない。でも、このまんがでそれ、伝わりますよね? だって私たち、楽しそうですもんね(笑)。
もし、みなさんがダウン症の子と触れ合う機会があったら、ぜひ笑ってあげてほしいと思います。彼らは人の笑顔が大好きなんです。そんな笑顔が、このまんがで、少しだけでもこの世界に増えたらいいと思います。


著者紹介

パーツモデル、美容研究家。朝日おかあさん新聞にて「カリスマ・パーツモデル金子エミのMama美開花宣言」を連載中。「パーツ女優のからだ図鑑」(ワニブックス)など著書多数。1997年に長男カイト君を出産、ダウン症と判明する。今年、ダウン症世界水泳選手権大会の日本代表選手にカイト君が選ばれる。
【ブログ】http://ameblo.jp/emi-kaneko
【ツイッター】美容家ママとカイトの奮闘記 @back_kaito


まんが家、イラストレーター。東京造形大学・デザイン科卒業。 『美大デビュー』(ポプラ社)、『もち・ぽち』(徳間書店)、『親が、倒れた!桜井さんちの場合』(新潮社)、『産まなくてもいいですか?』(幻冬舎)など著書多数。

写真/石野明子 ヘア&メイク/木村三喜
『世界は君のもの』11/19発売!
パーツモデルとして第一線で活躍しながら、ダウン症の息子・カイトを育てた金子エミのノンフィクション漫画。その人生は、自身の病気、離婚、再婚、美容家デビューと波瀾万丈! やがてカイトの水泳の才能に気づき、親子二人三脚で「ダウン症世界水泳選手権大会」を目指します。「障害児だから」「ダウン症児だから」と子どもの可能性を狭めず、立ちはだかる壁をどんどん壊し、明るい世界へとカイト君を導いていくエミさんの姿に、子育てのヒントがたくさん詰まっています。
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