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日本の軟水は、和食と相性◎

水は大きく分けると2種類あり、カルシウムやマグネシウムなどミネラルの含有量が多い水を「硬水」、少ない水を「軟水」と呼びます。

日本はほとんどの地域が軟水で、食材を加熱したときに短時間で味を引き出せるのが特徴。

今こそ「汁もの」を見直そう日本の自然とともに発展してきた和食は、栄養面でも理にかなっています。たとえば、汁ものや和えもので海草をたっぷりとることで、軟水に不足しているミネラルを補うことができます。
「食生活のグローバル化が進んでいる今こそ、和食のよさを見直してほしいですね。とくに和食の献立で重視されてきた『汁もの』は、野菜や海草、魚介など冷蔵庫の残りもので作れて、『おいしい、簡単、健康にいい』と三拍子そろったすぐれもの。鍋ならうどんやご飯を加えて〈ワンプレートディッシュ〉になります」(江原先生)

皆さんも日本人の体に合った和食メニューを、毎日の食卓に気軽に取り入れてみませんか?

東京家政学院大学名誉教授。「『和食』文化の保護・継承 国民会議」副会長。専門分野は食文化史、食教育史、調理学。著書に、『家庭料理の近代』(吉川弘文館)などがある。
「和食のベースとなるかつお節や昆布、煮干しから『だしをとる』という習慣は、私たちの先祖が軟水の性質をうまく生かしてはぐくんできたものです。また、軟水で煮ものを作ると、しょうゆやみりん、砂糖などの調味料の味が食材にしみ込みやすくなります。これに対し、ヨーロッパ諸国は硬水なので、肉や野菜を何時間もじっくり煮込む料理が生まれました」(江原先生)

日本の水はほとんどが軟水ですが、地域によってミネラルの割合(=硬度)が少しずつ異なり、郷土料理に大きな影響を及ぼしました。上の地図のように関東と関西ではだしをとる素材が異なるほか、地酒も水の特徴を利用して発展したものです。「現在のような科学の知識がなかった昔の人は、自然をよく観察して合理的な調理法を編み出しました。その知恵には本当に驚かされます」(江原先生)。

取材・文/安井まさこ イラスト/いわしま ちあき