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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.65】「WAVES/ウェイブス」

2020.07.09


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
家で映画を楽しむ環境が随分と整い、僕自身以前よりもその機会が増えたように思います。そのメリットも感じつつ、やっぱり「これは映画館で見たいな」と思う作品も。
今回ご紹介する『WAVES/ウェイブス』がまさにそうで、不思議な色彩を放つ美しい映像や、登場人物の気持ちにぴたりと寄り添う名曲たちが彩るストーリー、これは絶対スクリーンで見たい!
この作品を製作した映画会社A24は、『レディ・バード』『ミッドサマー』、アカデミー賞を受賞した『ムーンライト』など、話題作を次々と発表しているスタジオ。最新技術を駆使した新たな映像体験と、時代を問わない普遍的なストーリーが融合した今作、この夏ぜひ見てほしい一本です。


一気にこの作品の世界に引き込まれてしまう、それくらい印象的な最初の数分間。360度回転しながら映し出されるマイアミの青い海、高校のレスリング部の練習風景、若さが充満するクラスルーム、ネオン煌めく夜の喧騒……。これでもか!というくらいポジティブな雰囲気に溢れたオープニングです。
17歳のタイラー(ケルヴィン・ハリソン・ジュニア)は、高校のレスリング部で将来を嘱望される存在。裕福な家庭で育ち、彼女のアレクシス(アレクサ・デミー)との関係も良好で、まさに順風満帆。父のロナルド(スターリング・K・ブラウン)がやや高圧的な印象ですが、アフリカ系アメリカンとしてこれまでの人生で苦労と努力を重ねてきたことが、子どもたちへの厳しさにつながっているようです。

あまり粗筋を知らずに見たので、すごくキラキラした展開が待っているのかと思いきや、ストーリーは思わぬ方向へ。タイラーは厳しい練習で知らず知らずのうちに肩に負傷を抱えており、選手生命を危ぶまれるレベルに。そんな折、恋人のアレクシスの妊娠が発覚し、やがて事態は最悪の展開に……。



ドラマチックなストーリーを彩るのが、アメリカの音楽界を代表する名曲の数々。レディオヘッド、フランク・オーシャン、アラバマ・シェイクス……etc.
登場人物の心情にぴたりとハマる楽曲たち。時には歌詞がセリフのようにも感じられ、この映画がそれぞれの曲のプロモーションビデオのような……そんな印象さえ受けました。
後半はタイラーの妹・エミリーが主役。道を踏み外してしまった兄の影響で家族の絆は崩壊し、心を閉ざしてしまうエミリー。そんなとき、兄タイラーと一緒のレスリング部に所属し、同じように孤独を抱えるルーク(ルーカス・ヘッジズ)と出会うのです。
全く同じような経験をしなくとも、エミリーが感じる孤独、兄を救うことが出来なかった罪悪感は、多くの人が理解できる感情。そういう意味で、真の主人公はエミリーで、そしてこの映画を見ている僕たちなのかもしれないとも思います。
2人はそれぞれぞれの孤独を、ともに乗り越えていくことができるのか……。


タイラーとエミリーの一家がアフリカン・アメリカ系というのがポイント。黒人であるがゆえに、「人より努力しなければならない」と子どもたちに言い聞かせる父親の姿は、計らずも「#BlackLivesMatter」運動で世界中が揺れている昨今の状況とどこか重なりを感じます。
人は間違いを許すことができるのか。罪を償うことができるのか。失ったものを取り戻すことができるのか。国も時代も問わない普遍的なメッセージが、最新の技術を駆使した映像や数々の名曲とともに、すっと心に響いてくる、そんな作品です。


「WAVES/ウェイブス」  7月10日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.


【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和 

次回7/17(金)は「ブリット=マリーの 幸せなひとりだち」です。お楽しみに!

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