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オレンジページ☆デイリー

2020.5.29

【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.59】ストーリーとの一体感が最高! 音楽が素晴らしい映画

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
時間がある週末のおうち時間を楽しくしてくれる、おすすめ映画を紹介します。

今回は、ストーリーはさることながら音楽も魅力たっぷりの作品をピックアップ。ドラマチックな楽曲が盛り上げる家族の1日、架空の街で夢を掴もうとするミュージシャンとその仲間たち、自らの歌声で人生を切り開くパレスチナの少年……印象的な旋律が心に刻まれる、マツコおすすめの3本をご紹介します。


『たかが世界の終わり』 2017年

【家は安らぎの場所にあらず? 12年ぶりに戻った〈彼〉を迎える家族の1日】

グザヴィエ・ドラン監督はカンヌ国際映画祭でグランプリを獲得するなど、若くして既に大御所のような風格ですが、彼の映画には音楽が欠かせません。映像を音楽がアシストしているというより、映画自体が曲のプロモーションビデオじゃないかと思うほど、音楽が存在感を放っているのです。12年ぶりに実家に戻った作家の青年が、やがて訪れる自分の死を家族に告げようとする、たった1日の出来事。それを劇的に盛り上げるのが、選び抜かれた音楽なのです。

冒頭、主人公のルイ(ギャスパー・ユリエル)が実家へと向かう飛行機に乗っている場面、早速印象的なメロディーが。歌詞もとても物哀しく、決して明るい展開が待ち受けてはいないことを示唆するこの曲は、Camilleの「Home is where it hurts」。ドラン監督がすごいのは、既に世に出ているヒット曲を実に効果的に使うところ。この曲はこの映画のために作りましたと言われても、まったく違和感がないのです。

ルイの帰りを待ちわびていた母と妹、成功して町を出た弟に対して複雑な気持ちを持つ兄と、その妻。登場人物はたった5人ですが、フランスが誇る豪華俳優陣がそれぞれ個性ある役を演じきっています。ルイはなぜ死ぬのか、そもそもなぜ出て行ったのか、また父親の不在の理由など、詳細が明かされることはなく、すべては会話から想像を膨らませるしかありません。果たしてルイにとって家は救いの港となるのか。エンディングもまた、締めくくりにふさわしい1曲が物語を演出します。

『たかが世界の終わり』
発売・販売元:ポニーキャニオン
価格:DVD¥3,800円+税、Blu-ray¥4,700円+税
ⓒShayne Laverdiere, Sons of Manual


『スワロウテイル』 1996年

【お金で買えるものと、買えないもの。自らのアイデンティティを求める移民たちの物語】

この映画、音楽が良かったな~と久々に見返してみたら、音楽はもちろんですがストーリーの秀逸さに改めてビックリしました。舞台は架空の日本。「¥(円)」が強かった頃、一獲千金を求めて日本にやって来た異国人たちが作った街・円都(イェンタウン)で繰り広げられる、移民たちの物語です。娼婦の子として生まれた少女アゲハ(伊藤 歩)は唯一の肉親である母親を亡くし、同じく娼婦のグリコ(Chara)と出会う。一方グリコを歌手にしたいと願う恋人のフェイホン(三上 博史)は、ひょんなことから巡ってきたチャンスを生かし、彼女をボーカルに据えたYEN TOWN BANDというバンドをプロデュースする……。

この映画のエンディングテーマとして大ヒットを記録した「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」を初め、Charaさんの哀愁と優しさが共存した歌声が、裏社会でしか生きられない移民たちの悲しみ、そして金ですべてが動く世の中の虚しさと呼応します。劇中、YEN TOWN BANDがデビューするにあたり、グリコが日本人として身分を偽ることが条件になるんですが、こういった排他的な社会の描写は、1996年当時もですが、外国人人口が増えている今の時代こそ身につまされるものがあります。アゲハは、グリコは、そしてフェイホンは自分のアイデンティティを見つけられるのでしょうか?

『ラヴレター』『リリイ・シュシュのすべて』などで知られる岩井俊二監督と、言わずと知れた名音楽プロデューサー・小林武史氏のタッグによって生まれた今作。小林武史さんはMy Little Loverのプロデュースでも知られていますが、この映画の中で彼らの「YES~free flower~」という曲が実に良い使われ方をしているのです。さらにマイラバは「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」もカヴァーしていて、自身のベストアルバムに収録しています。Charaさんとはまた違う切なさを持ったAKKOのボーカルには中毒性があり、必聴の仕上がり。マイラバファンなのでこれだけはお伝えしたく……! 公開から24年経ってもなお色あせない名作、見たことがある方もこの機会にぜひ見直してみてはいかがでしょうか。

『スワロウテイル』
発売・販売元:ポニーキャニオン
価格:DVD・Blu-ray 各¥3,800円+税
ⓒ1996 SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE


『歌声にのった少年』 2015年

【愛する姉のために、そして祖国のために。その歌声が希望をつなぐ】

アメリカの国民的公開オーディション番組「アメリカン・アイドル」。そのアラブ諸国版「アラブ・アイドル」で見事優勝を遂げたパレスチナ青年の、実話を元にしたサクセスストーリーです。イスラエルとの紛争が絶えないパレスチナ・ガザ地区で暮らすムハンマド(カイス・アタッラー)は姉たちとバンドを組み、「カイロのオペラハウスに出たい」と夢見る音楽少年。歌い手としての彼の才能を誰よりも強く信じていた姉ヌール(ヒバ・アタッラー)はやがて重い病気を患い、この世を去ってしまいます。数年後、厳しい状況が続くガザからどうにか抜け出したいと、ムハンマド青年(タウフィーク・バルホーム)は、エジプトのカイロで行われるアラブ・アイドルへの出場を決意するのです。

ノスタルジックなメロディーと独特のこぶしをきかせた歌唱法があいまって、どこか日本の演歌を思わせるアラブ歌謡。平坦さとはほど遠い人生を送ってきたムハンマドの、苦しみを解放するような力強い歌声に、何度も心を揺さぶられます。大会で勝ち進むうちに、パレスチナ国民から寄せられる期待とプレッシャーにつぶされそうになるムハンマド。自分のため、そして治療代を払えず無力のまま死んでいった姉のために歌っていたはずが、いつの間にか背負わされてしまったその重圧に苦しむことになるのです。

イスラエルとの争いに関する直接的な描写はありませんが、貧しさゆえに病気の治療を受けられなかったり、エジプトとの国境を越えるだけでも相当な困難があるなど、逼迫した状況がガザの日常だということが分かります。監督がこだわったのは、実際にガザ地区に住んでいる子どもたちをキャスティングすること。ムハンマドの姉ヌールを演じたヒバ・アタッラーさんはこの映画の出演料によって、家族と一緒にオランダへ亡命することができたそう。歌や映画などの文化が子どもたちの未来を切り開いてくれるのなら、まだ希望はあるのでしょうか。

『歌声にのった少年』
販売元:アルバトロス
価格:DVD 3,800円+税

※ 価格等は2020 年 5 月現在の情報です。

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回6/5(金)は「闘う女性のストーリー」です。お楽しみに!

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