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オレンジページ☆デイリー

2020.5.22

【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.58】違いを乗り越える! 映画に見るダイバーシティ〈多様性〉

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
時間がある週末のおうち時間を楽しくしてくれる、おすすめ映画を紹介します。

世の中には色々な人がいて、それぞれの個性を発揮しながら共生できるのが理想の社会。と、頭ではわかっていても、多くの人が自分の身の周りの世界をスタンダードと考えてしまいがちですよね。今回紹介する3本は、「自分とは違う」と思っている人どうしが出会うストーリー。違いを乗り越えるハートフルなものから、違いが壁を厚くする悲しい内容まで、どれもダイバーシティ〈多様性〉について考えさせてくれるものばかりです。

『はじめてのおもてなし』 2016年

【難民受け入れで混乱するドイツを風刺したコメディ。難民の青年が教えてくれる、本当の幸せとは?】

2015年にメルケル首相が大規模な難民受け入れを宣言し、注目を浴びたドイツ。本当にドイツは色んな対応が早いなあ、といつも感心しています。とはいえ、その反動はやはり大きかったようで、治安の悪化や自分たちの職を奪われるという不安から、難民に対してネガティブな感情を持つ人も増加。世界中の国が他人事ではないこの問題を、コメディタッチで楽しく見せてくれるのがこの作品です。

南ドイツのミュンヘンに住むハートマン一家は、社会活動に積極的な母親アンゲリカ(センター・バーガー)の提案でナイジェリア人難民の青年ディアロ(エリック・カボンゴ)を受け入れます。豊かな国の人間と不幸に見舞われた難民、という構図になるはずが、物語は意外な方向に。それぞれのメンバーが問題を抱えたハートマン一家は、ディアロとの交流によって逆に本当の幸せとは何かを考えさせられるという、心憎い展開になっています。

難民を受け入れたいと真っ先に声を上げたアンゲリカの行動が、「助けたい症候群」と揶揄されるのも印象的。受け入れるとは、施しを与えることではないんだなと改めて気づかされます。難民の受け入れで起こる社会の分裂はもちろん、ワーカホリックや永遠の自分探しなど、「世界の学級委員」的なイメージのあるドイツ自体の問題もきちんと描いている、とても真摯な作品。やっぱりドイツっていい国だなあと見て思いました。これは2016年の作品なので、あれから数年で世界はどう変わったか? と考えながら見てはいかがでしょう。

『はじめてのおもてなし』
発売元・販売元:ポニーキャニオン
価格:Blu-ray 4,700円+税、DVD 3,800円+税
ⓒ2016 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG / SENTANA FILMPRODUKTION GMBH / SEVENPICTURES

『ワンダー 君は太陽』 2017年

【人とは違う顔を持つ少年がついに学校へ! 誰もが誰かを輝かせる太陽】

ジャケットのヘルメット姿が印象的なオギー(ジェイコブ・トレンブレイ)は、遺伝子疾患があり、27回分の手術跡を顔に持つ10歳の少年。それまでは母親による自宅学習を続けていたものの、ついに5年生から学校に通うことに。好奇の目や偏見にさらされながらも、持ち前の頭の良さやユーモアで少しずつ状況を打開していく様子をていねいに描いています。

主役はオギーですが、章ごとに違う登場人物が語り部となり、彼との関係を描写していく手法が効果的。弟のことが大好きだけれど、自分は太陽(オギー)の周りを回る惑星のようだと感じている姉のオリヴィア(イザベラ・ヴィドヴィッチ)、彼女の親友で、オギーを中心にまとまっている一家が少しうらやましいミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)、そしてオギーにとって初めての友だちとなり、彼なりの複雑な気持ちを素直に語るクラスメイトのジャック・ウィル(ノア・ジュプ)。オギーだけが輝く太陽なのではなく、すべての人が誰かを輝かせている、そういうメッセージを感じます。

オギーは自分の顔のことで悩んではいるけれど、自己肯定感は強い。母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)はオギーをケアしながらも中断していた修士論文を再開するのですが、「家族が自分のために犠牲になっている」とオギーに思わせないような育て方をしてきたんだろうな、と思います。「泣ける映画」というと途端に軽い感じがしてしまうので嫌なのですが、実際2時間のうち1時間半くらいは泣きっぱなしでした!

『ワンダー 君は太陽』
価格:Blu-ray 6,800円+税、DVD 3,900円+税
発売元:キノフィルムズ/木下グループ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
Wonder ⓒ2017 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC and Walden Media, LLC. Artwork &
Supplementary Materials ⓒ2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『チョコレートドーナツ』 2012年

【誰もが求める自分の居場所。マイノリティ×マイノリティが迎える結末とは】

1979年のカリフォルニア。ゲイのカップルが育児放棄されたダウン症の少年を引き取り、育てようと奮闘するお話。奮闘する、というのは育て方が難しいとかそういうことではなく、同性愛者である彼らにとって男児を養子として迎えること自体のハードルがものすごく高く、その権利を勝ち取るための法廷での攻防がとても印象的。マイノリティとマイノリティの出会いはどこにたどり着くのか?

「LGBT」「ダウン症の子」そういう記号で人を見ることがどれだけ愚かしいことか、この映画を見るとよくわかります。ショーダンサーのルディ(アラン・カミング)と弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)のカップルは、生きてきた環境や職業の違いもあり、ゲイだからといって同じ考えを持っているわけではないし、彼らが引き取りたいと願うマルコ(アイザック・レイヴァ)も、ドーナツが好きで、ディスコダンスが得意で、ダウン症という名前ではないのです。

マルコの好きなドーナツがタイトルになっていますが、原題は『Any Day Now』(=いつかきっと)で、けっこう印象が変わりますよね。この映画、見た人の感想が人によって全然違うのも特徴だなあと思っていて、例えば「感動した!」という人もいれば、「ただただやるせない」と感じる人も。LGBT映画という呼び方もされますが、家族の映画であり、愛の映画でもあり、色々な人に見てほしい作品です。

『チョコレートドーナツ』
発売元・販売元:ポニーキャニオン
価格:Blu-ray 4,700円+税、DVD 3,800円+税
ⓒ2012 FAMLEEFILM,LLC


※ 価格等は2020 年 5 月現在の情報です。

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回5/29(金)は「ストーリーとの一体感が最高! 音楽が素晴らしい映画」です。お楽しみに!

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