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編集マツコの 週末には、映画を。Vol.44】「ジョジョ・ラビット」

2020.01.23


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
アカデミー賞の候補が発表されましたねー。なんだか今年は、受賞発表の前に日本で見られる作品が例年より多くないですか!? 毎年、ノミネートや受賞のニュースを興味深く聞きながらも「ふーん」とやや他人事でしたが、今年は公開前の作品以外は全部見ているので堂々と! 賞レースを楽しめます。
Netflix勢がすごいですね。『アイリッシュマン』も『マリッジ・ストーリー』も映画館で見てしまいましたが、2020年はNetflixに加入しちゃうかも……。

前置きが長くなりましたが、注目は今回紹介する「ジョジョ・ラビット」。この作品、先のトロント国際映画祭で観客賞(審査員による投票がないのでこれが最高賞)を受賞していて、なんでもこの賞を取った作品がアカデミー賞を取った例が過去にも多いとか……。

他も良作揃いなのですが、この映画いいっ! 作品賞取ってほしいっ! そんな気持ちにさせられる、ハートウォーミングな戦争映画です。


戦争映画は大きく分けて2種類あると思います。バンバン大砲を打ち合う実際の戦闘シーンがメインのものと、戦い自体ではなく戦時中の人々の生活を描いたもの。
このカテゴリーでいうと、10歳の少年の目を通して戦争を描いている『ジョジョ・ラビット』は後者になるわけですが、ジャンル分けできない不思議な雰囲気がありますこの作品。

10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、青少年集団ヒトラーユーゲント(10代の少年が加入を義務付けられていた、鍛錬によってナチスへの忠誠を強化する組織)に加入。
ナチスへの忠誠心に燃えるジョジョですが、「ウサギを殺せ」という教官の命令を全うできず、「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられてしまいます。

彼には空想上の友人がいて、その名がアドルフ(タイカ・ワイティティ。監督! 似てない!笑)。もちろんヒトラーのことなのですが、ファーストネームで呼ぶあたりが、今までのヒトラーを扱った映画と一線を画しているゆえんでしょうか。
10歳のジョジョにとってナチスの大義やこの戦争の意味合いはまだ理解が及ばず、いかにも少年的な憧れだけでナチスへの忠誠を誓っています。
当時、ジョジョのような少年がドイツにも日本にもたくさんいたのかもなあ……そんなことを思いました。


ある日、ジョジョは家の中に隠し扉があるのを偶然発見します。中にいたのは、なんとユダヤ人少女のエルサ(トーマシン・マッケンジー)。
反ナチスの考えを持つジョジョの母親ロージー(スカーレット・ヨハンソン)が、エルサをずっとかくまってきたのです。

突然ですが、料理は素材をどう調理・調味するかで仕上がりが変わります。
映画もいっしょ。登場人物のキャラクターやシチュエーションを生かすことも殺すこともできてしまうんですよね。
「ナチス」「ユダヤ人」というキーワードは、戦争映画の素材としてはオーソドックスで、普通に調理すると普通の味になってしまう。
ナチスに陶酔する幼い息子と、反ナチスの母親という設定が良いスパイスになっていて、特に10歳の少年の目を通して描いているからこそ、人々を高揚させる戦争の危うさが伝わってくるんですね。
最初はエルサを敵視していたジョジョですが、だんだんとその心情には変化が生まれて……。


この映画、辛口なユーモアやコメディ要素もたっぷりで、例えば、ナチスへの忠誠心を示す有名な挨拶。
1人1人が全員と必ず交わさなければならないので、めちゃめちゃ時間がかかるのをちょっとコミカルに描いていました。
こういうブラックな笑いがあるからこそ、いきなり訪れる残酷な描写が際立っています。

先日紹介した『リチャード・ジュエル』では、型破りながら頼りがいのある弁護士を演じていたサム・ロックウェル。今作では、戦闘で片目を失った、ちょっと変わった指導官の大尉役でした。
途中まではやや情けない役どころなのですが、後半でまさかの大活躍! 良い役もらいすぎ!
ネタバレはしませんが、マツコはこういう展開に弱いのです。

戦争の悲惨さはきちんと伝えつつも、ただストレートにナチスを批判するのではなく、色々な人の目を通して戦争を描いた今作。
悲しいことがたくさん起こりますが、心温まる意外な終わり方がとても良かったです。


「ジョジョ・ラビット」  全国公開中!
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation &TSG Entertainment Finance LLC

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

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