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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.41】「パラサイト 半地下の家族」

2020.01.02

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
明けましておめでとうございます。2020年も皆様が素敵な料理と映画に出会える1年になりますように!
我ながら小さいこだわりなのですが、新年1発目にどの作品を見るか、毎年けっこう悩みます。初物だから、「いい映画見た!」とハッピーな気持ちになりたいんですよねー(ハッピーエンドでなくてもよい)。
皆さんの今年の1本目におすすめしたいのが、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。
2019年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを韓国映画史上初めて獲得した、大注目の作品です!


中国や台湾の映画が好きです。中国映画は壮大な歴史を繊細に描いた作品が多くて、現代の話だと社会主義的な側面が日本にはなくて面白いのです。
台湾は、日本のテレビドラマが昔から人気だと聞いたことがあって、影響し合うところが多いのか、映画も日本人が見て共感しやすいなと思います。ピュアな若者が出てくる作品が多くて、そこも好き。

対して韓国映画は、ストーリーも、俳優の感情表現もちょっと過剰に感じることが多いのですが、この『パラサイト 半地下の家族』はそのバランスが絶妙で、ヒジョーにいいです。
ポン・ジュノ監督の作品は『母なる証明』という作品が好きで、韓国映画らしい激しさはありつつ、話の展開が巧みで面白かった!
ジャンル分けできないというか、不思議な魅力を感じる監督です。


早く『パラサイト』の話しろよと思いますよね(笑)。なのですが、見る人1人1人がハラハラしながら展開を楽しんでほしい、という監督のコメントがあったので、今回ストーリーはさらりと触れるだけにとどめます。

主人公のキム一家は、貧しい4人家族。父親はたびたび事業で失敗、息子は万年浪人生。娘は美大志望だけど予備校に行くお金がなく、母親は甲斐性なしの夫に当たり続ける毎日。
貧しくもささやかな幸せが……という感じでは全然なく、一家が暮らす半地下の生活はかなり不便です。
半地下ゆえにWi-Fiがうまくつながらないし(他の国の映画でもそうなのですが、貧しい人たちもなぜかスマホを持っていませんか?)、水圧の関係なのか?トイレが家の中で最も高い場所にあるという始末。

ある日息子ギウ(チェ・ウシク)は友人から、家庭教師のアルバイトの話を持ち掛けられます。依頼主は高台に住むIT社長のパク一家で、勉強を教える相手はその家の娘。
学歴はないものの、受験勉強でつちかったノウハウを生かし、ギウは見事に家庭教師としての信頼を勝ち取ります。
このパク一家には小学生の息子もいることを知り、あることを思いつくギウ。
キム一家は果たしてこの裕福なパク一家にパラサイト=寄生できるのでしょうか?

題材はシリアスですが、そこに笑いやドタバタ劇も加えてエンターテインメントに仕上げているのが、今作の魅力。まったく飽きさせない展開で、最後まで一気に見られます。


加速する社会の分断。先日紹介した『家族を想うとき』『THE UPSIDE/最強のふたり』などでもたびたび触れた問題です。
お隣の韓国でも格差の広がりは深刻らしく、だからこそ共感を得たのか、この作品は1000万人以上の人が見たそうです。
大ヒット中の『ジョーカー』も、まさに格差社会の闇を描いた作品。アメリカでは公開直前、とある映画館に暴動を示唆する脅迫があったとか。
面白いなと思ったのは、一昨年パルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』も同様のテーマを扱っていると思うのですが、その描き方はそれぞれ全然違いますね。ぜひ見比べてほしいです。

真面目だけど笑える。コメディだけど悲しい。
不思議な魅力でいっぱいの『パラサイト 半地下の家族』、今年の「映画始め」にいかがでしょうか。


「パラサイト 半地下の家族」  1月10日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー!
配給:ビターズエンド
©2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回1/17(金)は「リチャード・ジュエル」です。お楽しみに!

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