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オレンジページ☆デイリー

2019.9.27

【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.26】「帰ってきたムッソリーニ」


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
お料理の世界には、たくさん作った肉じゃがを翌日カレーにしたり、から揚げを葉野菜と合わせてサラダ仕立てにしたり、いわゆる「リメイクおかず」というものがあります。
これ、簡単そうでけっこう難しいのです。というのも、うまくリメイクしないと「何もそこまでしなくても」「これならオリジナルでよかったな」となっちゃうので。
元の料理のよさは生かしつつ、「お、これも美味しい」と思わせるリメイクは技術がいるんですよねー。

久々に料理編集者っぽいコメントをしましたが、映画のリメイクも同じことが言えるような。
「ちゃんと面白くなるのか」「原作のよさを損なうのでは」等、心配は尽きません。
例えば大作を数十年ぶりにリメイクすると、時代背景的にやや無理が生じてしまったり。フランス映画をハリウッドでリメイクしても、国が違うと本来のメッセージが伝わりにくかったり……。

今回紹介する『帰ってきたムッソリーニ』は、オリジナルを踏襲しつつも、なんと主人公が変わるという変化球リメイク。
リメイクでありながらオリジナリティのある、丁寧に作られた作品でした。


数年前に公開された『帰ってきたヒトラー』は、同タイトルの原作小説のヒットを経て映画化、日本でも話題になった作品。
そのムッソリーニ版とは! その手があったかという感じです。

撲殺され、宙吊りにされたとされる1945年4月28日から70余年後の同日、空からムッソリーニ(マッシモ・ポポリツィオ)が落ちてくる!?
倒れている彼を見て「なんだこのおじさん」という少年たち。新聞の日付で現代にワープしたことを知り、気を失ったところを新聞店の店主たちに助けられるムッソリーニ。
売れない映像作家の目に留まり、彼と2人でドキュメンタリー制作の旅に出る……。

同じ小説を原作にしているということで、舞台はベルリンからローマへ、主人公はムッソリーニに変わっても、ストーリーの流れはほぼほぼ一緒。
完コピぶりがすごいし、話が違和感なく成立するのもすごい。
とはいえ、ヒトラーとムッソリーニは別人ですから、細部に違いが出るのが面白いのです。

画家を目指していた過去を持つヒトラーは、人々の肖像画を描いて(めちゃ下手ですが笑)小銭を稼ごうとしたり、
ムッソリーニはイタリア人らしく女性に手慣れていて、相棒となるカナレッティ(フランク・マターノ)に代わり、彼の彼女にスマホで気の利いたメッセージを打ってあげたり。
すっごく細かい違いですが、2人とも軍服をクリーニングに出す場面があって、ヒトラーは下着まで洗ってもらえるのですが、ムッソリーニは拒まれてしまいます。
何か重要なメッセージが込められているのか、最後まで気になっちゃいました(笑)。


ヒトラー版を見たことがあると、どうしても比較しながら見てしまいますが、今作から見てもまったく問題ないのでご安心を。
旅の道中、町の人々にインタビューをするムッソリーニとカナレッティ。「不満はないか?」と問いかけると、政府や社会問題への不満が出ること出ること。
この様子が動画サイトに投稿され、再生回数が一気に伸びていきます。
ついにはテレビ出演も果たし、再び国を征服しようと企むムッソリーニですが……。

一度は「悪」として見なされ、人々の手で葬られたムッソリーニ。
その彼が70年後の現代に蘇ると、本物だとは思われていない(コスプレ好きの芸人だと思われてる)にせよ、意外にも人々の支持を得ていくところにこの映画のメッセージがあります。
トランプ氏を筆頭に、複数の国で右派政権が台頭する昨今。
ムッソリーニのような人物が再び生まれてしまう危険がある、そんな時代に僕たちはいるのかもしれません。
特に終盤の彼の発言が印象的で、ハッとさせられるものがあります。

とはいえ、全体的にはコメディータッチで、思わず笑ってしまう場面ばかり。
テレビを見て「料理番組ばっかりだ」と嘆いたり、最近日本でも流行っているミニ扇風機をさりげなく持っていたり(笑)、ぜひ細部までお見逃しなく。


ドイツ、イタリアとくると、どうしても日本版を考えてしまうのが人情(?)ですが、この2人に並ぶ人って意外にいないなあ……。
もう時代は無視して、紫式部、坂本龍馬あたりを復活させてみたり……?
でも、この映画の「一度は裁きを受け、葬られた人物の復活」という面白さは出なそうです。

タイトルだけ見ると、歴史もので少し構えた気持ちになるかもしれませんが、前述の通り肩の力を抜いて見て楽しい作品。
ただ、日本人にとってのムッソリーニって、独裁者としてややヒトラーとセットにされちゃってる感も。2人の政策って実はけっこう違うので、ウィキペディアとかで少しだけおさらいしてから見てもいいかもしれません。

ヒトラー版を見たことがある人は比較しながら、見たことがない人はぜひ『帰ってきたムッソリーニ』の後にチェックしてみてくださいね。


「帰ってきたムッソリーニ」 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開中
配給:ファインフィルムズ
© 2017 INDIANA PRODUCTION S.P.A., 3 MARYS ENTERTAINMENT S.R.L.

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回10/4(金)は「エセルとアーネスト ふたりの物語」です。お楽しみに!

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