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目玉焼きをのせればたいていのことはどうにかなる

料理好き、そして玉子好きな小説家の井上荒野さんが、 気楽に作れておいしい「目玉焼きや落とし玉子」のせ料理を紹介する連載エッセイ。今回のレシピは、鍋料理の残りもので翌日に作れる「月見カレーうどん」です。和風だしのカレーの味を落とし玉子がまろやかにまとめてくれます。

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鍋の残りで月見カレーうどん

 

長野の冬はめちゃくちゃ寒い。どのくらい寒いかといえば、冬のはじめに東京から長野の家に移動した初日など、寒すぎて気持ちが悪くなるくらいだ。夫にそう言ったら、寒い寒いって言うな! とけんかになった。寒いことはわかっていてわざわざ冬に別荘に来ているのだから、寒いのを楽しめ! というのが彼の理屈である。

いや、私は寒いって言いますよ、わざわざ来ているのは事実としても、寒いのが楽しいかどうかは個人の問題であって、寒いものは寒いですよ、それを口に出すなっていうのは精神修養みたいですよ、私は断固としてそういうのには反対ですよ。機関銃のように言い返したら夫は負けた。それで寒い寒い寒いと必要以上に連呼しながら、薪ストーブをがんがん焚き、夜はテーブルの上でもカセットコンロの火を燃やして鍋料理を食べている。

寄せ鍋とか豚しゃぶとか、和風の鍋の翌日は、鍋に残っただしを利用してうどんにする。これをカレーうどんにするのが最近の流行り。カレーの包容力はすばらしく、肉も野菜も、鍋の具材の残りをほとんど消費できるし、適度にとろみがつくのであたたまるし、目先も変わって夫も喜び、けんかも吹き飛ぶところが良い。そして今回は落とし玉子入り! 「月見カレーうどん」って、お店やさんでも、意外とお目にかからないのではないだろうか。もちろん合います。カレーの包容力を上回る玉子の包容力の豊かさよ。「寒いね」と言ったら「寒いね」と答えるのも包容力だよね(と、無理やりまとめてみました)。

 
  • 井上荒野さん家の猫

    ストーブの前の
    特等席で爆睡中

  • 薪小屋

    夫が作った
    薪小屋

  • 冬の長野の別荘地

    冬の別荘地

  •  

レシピ

鍋の残りで月見カレーうどん

鍋の残りで月見カレーうどん
  1. まず前日に寄せ鍋か豚しゃぶをする。鍋に残っただしはもちろん大事にとっておく。
  2. だしをこして鍋に戻し、人数分のうどんだしになるように水を加え、鍋の具材の残りの肉類やかまぼこ、きのこ類、具が足りないと思ったら油揚げなどを刻んで足して、しばらく煮る。味を見て、和風だしの素、しょうゆ、みりん、カレールウ適宜で調味する。
  3. 玉子を落としてしばらく煮る。仕上げにほうれん草など葉物野菜を入れる。
  4. うどんをゆでて丼に入れ(最近は電子レンジでゆでられる冷凍うどんがあって便利)、玉子をこわさないように気をつけながら、カレーのだしを張る。

    ※カレールウは、S&Bの「じっくり焙煎 全粒粉カレーフレーク」というのが、スパイシーで最近のお気に入りです。
井上荒野

撮影/三原久明

井上荒野(いのうえ・あれの)
1961年生まれ。89年「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞、2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で直木賞、11年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞、16年『赤へ』」で柴田錬三郎賞、18年『その話は今日はやめておきましょう』で織田作之助賞受賞。著書に『夜をぶっとばせ』『ママがやった』『綴られる愛人』『あちらにいる鬼』など多数。新刊『あたしたち、海へ』(新潮社)発売中。
現在は東京と長野を拠点に生活。インスタグラムに手作り料理や愛猫との暮らしの写真などを投稿している。
» Instagram

文・写真・料理/井上荒野 構成/掛川ゆり

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