
2018.4.13
第1回は、ドラマを担当する高成プロデューサーを迎え、弊誌編集長がインタビュー。制作にあたり100人以上もの女性にリサーチしてあぶり出した、現代の夫婦像や夫婦のあるあるネタ、主婦の不満などをもとにお話を聞きました。さらに、オレンジページ読者にも夫婦にまつわるアンケートを実施! クスッと笑えるリアルな意見とともに、良好な夫婦関係を築くヒントを探ります。
鈴木 「あなたには帰る家がある」は、オレンジページ読者のかたがたにとって共感やヒントを得られるドラマになりそうだと私たちも注目しているのですが、そもそもはどんな思いから企画をされたのですか?
高成 今は女性がもっと輝く時代ということで働くことが推奨され、共働きの夫婦が当たり前になりつつありますよね。同時に、両者が働かないと家計が成り立たないという背景もある。時代とともに環境は変化しているけれど、20年前に書かれたドラマの原作の同名小説には、今も変わらない夫婦の問題だとか、奥さんのジレンマだとかがあって。これを2018年ならではの目線で描けるんじゃないかと感じたのが、きっかけのひとつです。
鈴木 たしかに、夫婦の問題って20年前とあまり変わらないのかもしれない。また、原作のストーリー自体も非常にドラマ的ですよね。
鈴木 リサーチをされて、意外だったのはどんなことでしょう?
高成 一つは、専業主婦のかたの本音を聞くまでに時間がかかったこと。なかなか心を開いてくれないので、お酒を飲んだりしながら(笑)、じっくり時間をかけてお話を聞きました。
鈴木 そう聞くと……うちの読者は専業主婦のかたが多いんですが、お便りを見ていると暮らしの中で感じるよい面を伝えくださることが多い気がします。ちょっとした失敗談はあっても、本音っぽい不平不満は送られてこないんですよ。でも、このコラボ企画をスタートする際、読者にアンケートをとったところ、われわれが想像していたより旦那さんに対して抱えている不満や、赤裸々な意見を吐き出してくださって(笑)。新たな発見がありました。
高成 へー! たとえば、どんな意見があったんですか?
鈴木 旦那さんへの不満で多かったものの一つが、会話に関するものですね。「話を聞かず、適当に返事をする」「忘れていた、気にしてなかったと、とぼければすまされると思っている」など、無関心に不満を持っている人。あと、年代が上がると「上司のような言動」「『だからダメなんだよ』という上から目線にイラッとする」「『いや……それは』と否定から入る」といった意見も多くありました。フォローするわけじゃないですが(笑)、男性は解決してあげなきゃと思うがゆえに、「そうじゃなくてさ」っていう上から目線になってしまいがちなのかな、と。
鈴木 先に専業主婦の本音を聞き出すのがむずかしかったとおっしゃっていましたが、専業主婦のかたと共働きのかたとで夫婦の関係性も違うと感じましたか?
高成 感じました。当然、家計のバランスは変わるじゃないですか。なんとなく、家事の分担に関しても収入に比例している感じはしましたね。男性側も奥さんのお給料をある程度あてにせざるをえない状況だと、「やらなきゃ」っていう意識が働くので、家計と家事のバランス、家計と夫婦のパワーバランスは比例しているんじゃないかなという実感です。
鈴木 アンケートでも働く女性に多かったのが家事・育児の分担に対する不満でした。ただ、若い夫婦になるほど旦那さんの家事参加率は上がっているので、そのへんの意識は少しずつ変わっているのかな、と。ゴミ出し、風呂掃除、食器洗いが男性が手伝う三大家事ですが、たったそれだけで分担していると思わないでという不満もあって。なかなかむずかしいなと思いました(笑)。
高成 簡単といえば、簡単な作業ですもんね(笑)。特に小さいお子さんがいるお母さんは、24時間が家事だと思うんです。洗濯や掃除をしながら子どもが散らかしたものを片づけて、やっと終わったと思ったら今度は食事。買い物をするときもメニューを浮かべながら、家計のバランスを考えているわけですよね。「これやって、あれやって」と常に段取り、段取りの毎日。そのなかの末端の作業をちょっとやってくれただけじゃ、過小評価したくなっちゃう気持ちもわかります。もちろん、やってくれないより全然ありがたいけど、100%のうちの5%で〈やってやった感〉を出されるとねっていう(笑)。
鈴木 座談会で夫婦のすれ違い、溝の大きさというのを知るなかで、もっとこうすれば夫婦はうまくいくんじゃないか、いい形で共存できるんじゃないかと感じたことはありますか?
高成 大きく分けると、二つあります。一つはシンプルですが、〈こまめに話し合うこと〉。ただ、言いたいことを言うだけじゃなく、〈会話〉や〈話し合い〉がちゃんとできている夫婦が、果たしてどれくらいいるのか。不満に思っていることだけじゃなく、自分が何を考えているのかを毎日伝えるだけでも変わるんじゃないかなと思うんです。夫婦関係はメンテナンスだとおっしゃる人もいますが、まさにこまめに修復しないと先ほど言った〈負の感情には「利子」がついてくる〉という状態になりかねないと思うんですよね。
鈴木 たしかに、読者アンケートでも夫婦関係を良好に保つための工夫として、「思ったことを口にする」「毎日、会話をする」という意見が非常に多く見られました。あと、「いっしょに笑う」「共通の趣味を持つ」といったものや、「長いLINEは送り合わない。ケンカのたねだから」「お互いの予定をカレンダーに書き込む」といった具体的な声もありました。意外だったのは、50、60代のかたに「スキンシップすること」を大事にしているかたが意外と多いこと。
高成 私もいろんなお話を聞いて、スキンシップの大事さは感じました。本来、夫婦っていちばん身近な異性のはずなのに、いつの間にか接触がなくなるのが日本の夫婦のよくある像かなと思うんです。実際、座談会で聞いた定期的なスキンシップの有無は半々くらいでしたが、身体的な接触があるかないかで、旦那さんへの親近感、夫婦の親密度が如実に違うんですよね。親近感や親密度がなくなると、やっぱり相手への尊敬も消えてしまうと思うので、すごく大事なことだと思いますね。
そして、もう一つは「妻はこうあるべき」「夫はこうあるべき」と自分で自分を縛らないことが大事だと思います。
小さな不満はゼロにはならないけれど、ときには「原点」を思い返すことで、相手への思いや尊敬、夫婦のよさを実感できるのではないでしょうか? ドラマ「あなたには帰る家がある」は、そんなきっかけをくれるはず。そして、第2回のコラボ企画(5月中旬アップ予定)は、家事も完璧、旦那に従順な理想の主婦・茄子田綾子役を演じる、木村多江さんが登場します!