『オレンジページ』でおなじみの料理家さんにご登場いただき、これまでに発表したなかでも「われながらこれは傑作!」「これはプライベートでもよく作る」というご自慢のレシピについて語っていただくこの企画。重信初江さんにご登場いただく2回目は、つくねのお話です。つくねだらけの特集ページは、何度も試作を重ねたことが印象的だったそう。
前回のお話:手に入りやすい材料で気軽に作れるのに、本格的なおいしさ! 『カクテキ』のレシピ【重信初江さんの傑作】
今回の傑作レシピ
『つくね』
とにかく食べて、試作をして
ご飯のおかずはもちろん、お弁当にもぴったりで、おつまみにもなるつくね。『オレンジページ』でも取り上げるたびに人気のテーマです。今回話題に上った記事は、2009年12月2日号のつくね特集でした。
「初めてつくねの特集を担当したので、とにかくたくさん試作したのを覚えています。お店に食べに行ったり、お惣菜を買ってきたり、いろいろと研究をして。というのも、つくねって外で食べる機会は多いけれど、自分で作ることはほとんどなかったんですよね。なので、これを機にあらためてつくねに向き合いました」と重信さん。
ふっくらジューシー、定番つくね
定番の『たれ焼きつくね』のたねは、鶏ひき肉をベースに玉ねぎを加えたもの。
「ねぎを入れる作り方もありますが、
玉ねぎだと甘みがあっておいしいんです。下味をしっかりめにつけることもポイント。焼いた後にたれをからめるとはいえ、かみしめたとき、つくね自体に味が感じられるほうがおいしいと思うので」
たねの材料をよーく混ぜたら、丸く形を整えてすぐに焼きます。たれを加えて仕上げたつくねは、ふっくらとジューシーで、絶品!
「このときはフライパンで焼いていますが、
グリルで焼いてもいいですね。ちょっと焦げやすくなるので注意は必要ですが、じか火ならではの香ばしさが楽しめますよ」
同じたねを使って、味つけを塩に替えたり、焼かずに揚げるバージョンも紹介しています。シンプルなアレンジですが、また違った印象のつくねになるのがうれしいところ。
「口当たりをよくするために、たねの配合は柔らかめにしました。柔らかすぎても揚げるときにベタッとしてしまうし、いろいろと考えた覚えがあります」
『塩焼きつくね』
『揚げつくね』
食感が楽しいおつまみつくね
定番のほかにも、たねに野菜をたっぷり加えたおかずつくねや、遊び心あふれる串焼きつくねなど、当時誌面で紹介したその数は全部で11品(!)。ご飯にもお酒にも合う、つくねの魅力が満載です。
「なかでも
串焼きつくねは、ルックスも味もかなり居酒屋っぽいラインナップ(笑)。軟骨(やげん)を使ったのは、ちょっと冒険というか、当時の『オレンジページ』では珍しかったかもしれません。でも、コリコリの食感はやっぱりおいしいですよね。トッピングも考えました。スライスチーズを巻いてゆかりをふる、というのがあるんですが、チーズが余熱でしんなり巻きつく感じが、なんともいいんですよ」
『軟骨入りつくね串』ゆかりチーズ、みそマヨ七味、お好み焼き風、塩昆布わさびこの特集の後、つくねの依頼が増えたという重信さん。レシピは少しずつ変わりつづけているそう。
「ここでは溶き卵を入れてるけど今だったら片栗粉にするとか、ほんのちょっとですけど。こういう
定番的なものって、やっぱりいつも同じではないというか、アップデートしつづけていく感じがあるんです」
作りたてでなくてもおいしさが変わらないから、行楽シーズンのお弁当や、ホムパの持ち寄りにもぴったりな、つくね。子どもから大人まで、みんなを笑顔にしてくれます。
重信初江さん
料理研究家のアシスタントを経て独立。昔から受け継がれてきた味を大切にしつつ、現代的なセンスで提案する作りやすいレシピが人気。韓国はじめ、世界各地を旅して覚えた味の再現にも定評がある。『食べたい作りたい現地味 もっと!おうち韓食』(主婦の友社)、『罪悪感ゼロつまみ』(主婦と生活社)ほか著書多数。