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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

【料理家・飛田和緒さん連載】たっぷりの大根の葉は炒め煮にして常備菜に【秋の直売所から】

2023.11.23

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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待ってましたー。

やっとやっと寒さがやってきました。夏の暑さは嫌いではないですけど、今年は異常でしたから、もう体が悲鳴を上げる寸前……、くたびれました。回復すべく、おいしいものを食べたいな。

直売所に驚きの食材が

野菜の直売所もようやくと言っていいくらい、夏野菜が一気になくなり、秋冬もように早変わり。

大根や白菜がぼちぼち出はじめていますが、今日の買い物でびっくりしたのはこの地でパパイアが収穫され店頭に並んでいたこと。もはや南国になりつつあるんですね。
パパイアは、屋久島に住んでいる知り合いが「栽培しているわけではないんだけど、勝手に庭になっているのよー」と、ときどき送ってくれるのです。

だから南の島のものと思っていたものですから、パパイアとは思わずに「これなんですか」って直売所のお母さんにきいてしまいました。

葉が力強いほうれん草、大きな肉厚のしいたけ、カラフルなラディッシュ、おろ抜き大根、パパイア、菊いも、秋の味覚が今日の収穫。

使い勝手抜群の〈おろ抜き大根〉

畑に大根の葉が茂りはじめたら間引いて、大根を大きく育てます。その間引いたものを〈おろ抜き大根〉として直売所では売っています。大根がまだ育つ前なので、大根に茂っている葉よりも柔らかい。塩もみして炊きたてのご飯に混ぜて菜めしにしたり、ひき肉と合わせてシュウマイや餃子にしてもおいしい。

炒め煮にして常備菜に

フライパンたっぷりにあった柔らかなおろ抜きも、炒めて加熱するとシュンと量が減ります。

梅干しとじゃこの塩けで味をつけ、最後にしょうゆで味をととのえる炒め煮は毎日食べても飽きません。ご飯にもお酒にも合うので、たっぷりと作って常備菜にします。

今日のさもない昼ごはん

さもない昼ごはんは、『ほうれん草としいたけのバターじょうゆ炒め』と、『ラディッシュのサラダ』にしました。

『ほうれん草としいたけのバターじょうゆ炒め』

しいたけ2個(といっても通常のしいたけ5~6個はありそうなボリューム……)は、やや大ぶりに切り、軸も薄切りにします。ほうれん草1袋は根元を十字に切って、その部分を水につけて振り洗いすると根元の土や砂がよく落ちますので、根元の甘い部分も食べます。

まずフライパンにオイルと塩ひとつまみを入れて、火にかけ、しいたけを焼きつけるようにして、一度取り出し、ほうれん草の根元や茎部分を残り油で炒めて、塩をまたひとつまみ。しんなりとしてきたら、葉の部分としいたけを。バターを入れてひと炒めして、しょうゆ少々をふればでき上がりです。

青菜やきのこは塩をよく吸うので、塩はやや控えめにしておき、もし味がたりなかったら食卓でパラパラッとふるくらいがよいなと思っています。

炒めた直後の味見ではちょうどよかったけど、器に盛りつけて、食卓で食べたらやや塩がきつくなっていることありませんか?

青菜やきのこにありがちな塩分問題
控えめがおいしく作るコツかなと思っています。今日のしいたけは肉厚でまるでお肉を食べているみたい。かみごたえもありましたので、炒めもの一皿で大満足。

『ラディッシュのサラダ』

ラディッシュは切って、重さの1%の塩をして30分くらいおいたら、白ワインビネガーとこしょう少々をふってあえ、冷蔵庫にあった生ハム少々をちぎって添えました。


お昼ごはんを食べ終わるころに娘がおなかすいたーと帰宅。
フライパンに少々残っていた炒めものに鶏皮でとったスープを加えて、ナンプラーで味をととのえ、卵を落として具だくさんの中華スープに。
これもまたおいしくできました。


とにかくほうれん草もしいたけも、しんなりと炒めても煮ても力強さがあって食べごたえがあり、秋が旬のものってこうだよねって一人、悦に入りましたー。

パパイアと菊いもの気になる食べ方は……


パパイアはきんぴらに

お昼には食べませんでしたけれど、おろ抜き大根は炒め煮に、パパイアは半分に切って中の種を除いて(種はほぼなかったですが)、皮をピーラーでむいて薄切りからせん切りにして、水に10分ほどさらしてアク抜きしてから油で炒め、きんぴらにしました。

アクが強いので、手袋をして作業しましたよ。ちょっと手首あたりにパパイアが触れただけでかゆくなりましたから、もし作るときには用心して手袋をしてむいたり、切ったりしてくださいね。

半分はきんぴら、残りはせん切りのまま冷凍して、後日パクチーと合わせてサラダを作る予定。このきんぴらが家族に大好評、ちょうど娘がいたのもあってどんぶり山盛りくらいにあったのがあっという間になくなりました。

もちろんパパイアとはわからず、大根? とうがん? 浅漬けのザーサイか? って言いながら、ご飯の友に、お酒のつまみにもりもり食べていました。
味つけはふだんどおりのきんぴら同様に、米油とほんの少しごま油を加えて炒め、酒、砂糖、色が濃くならないよう今回は薄口しょうゆで味をととのえて。

できたてより、粗熱が取れたくらいがぐっと味が入っておいしかったです。ほぼわたしの口には入らなかったので、また作ろう。
だって、近所でパパイアが手に入るんですもの。特別な食材ではなくなったのですから、作る頻度が高くなりそうです。

菊いもはチップスに

そして菊いもは糖尿病や高血圧によいとお値段とともにメモ書きが!
わたしも日ごろからややコレステロールが気になるところなので、菊いもを見かけるとよく買います。

レンジで加熱してつるりと皮をむいて食べたり、薄切りにしてオーブン用シートに広げて、塩を少々パラリとふってオリーブオイルをかけて、レンチンしてチップスにして食べたり。

チップスがカリカリッとしていてお酒のつまみにいいんですよね。体によくても食べすぎ、そしていっしょにお酒もぐいぐい飲んでは元も子もないので、気をつけます……。


この原稿を書いた日は涼しさを通り過ぎて、冷え冷え。真冬の靴下をはき、首にはストールをぐるぐる巻き、椅子にも分厚いフェルトの座ぶとんをつけました。

昼間は太陽の日ざしがあってもまあまあ寒い。
食のページにはふさわしくないけど、わたしの体感温度のバロメーターのひとつにトイレの便座があります。夏の間はオフにしている便座が冷たいっ、ひんやりと感じたとき、あーほんとに冬が来たぞってトイレであれこれ考えるんです。というわけで今日からスイッチオン。

こんな終わりでごめんなさいね。
人の体感はそれぞれだけど、みなさんもそんなふうに感じてはいないかなって思ったもので書いてみました。

飛田和緒


飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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