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更年期障害の治療法『HRT』を知っていますか?【女性ホルモンを補充する】

2023.10.25

雑誌やテレビなどでときどき耳にする、からだの不調や病気などにまつわるキーワード。気になるものをピックアップし、医師が詳しく解説します!

女性ホルモンを補充する更年期障害の治療法
『HRT(エイチ アール ティー)』とは?

のみ薬、貼り薬、塗り薬などで女性ホルモンを補って症状を緩和
まだ更年期を迎えていない人は、HRTという言葉になじみがないかもしれませんが、これは更年期障害の治療法であるホルモン補充療法のことです。欧米では更年期障害のスタンダードな治療法になっていますが、日本ではまだあまり普及していないのが現状です。

女性の体で分泌されている女性ホルモン〈エストロゲン〉の量は40代後半ごろに急激に減少しますが、このときが更年期で閉経の前後10年間をさします。更年期にはエストロゲンが急激に減ることで、ほてりやのぼせ、異常発汗といったホットフラッシュ症状や、動悸、肩こり、頭痛、不眠、イライラ、落ち込みなどさまざまな不調が出やすくなります。そこでエストロゲンを補って症状を抑えるのがHRT。症状がつらく、生活に支障が出るような人に向いています。HRTを始めて症状が楽になり、「もっと早く始めればよかった」と感じる人も多いようです。

「HRT」の種類・内容・値段は?

HRTには、のみ薬、貼り薬、塗り薬の3種類があり、基本的に毎日行います。補う女性ホルモンの量は低用量ピルの約1/8とごく少量です。エストロゲンだけを補うと子宮体がんのリスクを高めるので、それを防ぐために同じく女性ホルモンの〈プロゲステロン〉も補います。プロゲステロンをのみ薬で補い、エストロゲンをのみ薬、貼り薬、塗り薬のいずれかで補う方法や、エストロゲンとプロゲステロンが配合された貼り薬を週2回貼り替える方法もあります。HRTは保険適用で、3割負担なら1カ月の薬代は1000〜3000円程度です。

つらい更年期症状は我慢せずまず医師と治療の相談を

「HRT」の副作用・受けられない人は?

HRTには副作用もあり、長期間続けると乳がんや子宮体がんのリスクを高めるといわれています。ただ、エストロゲンとともにプロゲステロンも補うことで子宮体がんのリスクは減らせます。また、定期的に乳がんや子宮体がん検診を受けることで長期的に続けることも可能です。長期間続けると血栓症のリスクも高めますが、皮膚から吸収される塗り薬や貼り薬を選べばそのリスクを下げることができます。

ただし、乳がん、子宮体がん、血栓症の既往歴がある人はHRTを受けられません。子宮筋腫、子宮内膜症、糖尿病、高血圧、肝機能・腎機能障害がある人、肥満の人なども注意が必要。そのため事 前にこれらの病気を調べる血液検査や、子宮がんや乳がんの検査、経腟超音波検査などを行います。また、HRTを始めると、乳房や下腹部の張り、おりものの増加、不正出血などの症状が出ることもありますが、これらは続けるうちに治まっていくことがほとんどです。

つらい症状があり、年齢的に更年期かなと思ったら婦人科を受診しましょう。血液検査でホルモンの値を測り、更年期と診断された場合にHRTが治療の選択肢になります。HRTを始めると2週間ほどで効果を感じることが多いようです。継続期間は特に決まっていません。更年期症状が強く出るのは1〜2年ともいわれているので、その期間だけ行って症状が落ち着いたらやめてもいいですし、60歳までなどと年齢を決めて行うのもいいでしょう。エストロゲンには女性の体を守る多くの働きがあり、減少すると骨や血管の老化が進みますがHRTはそれを防げるのもメリットです。そのほか、更年期障害の治療には漢方薬などの選択肢も。こういった対策があることを知っておけば更年期を迎えることに過度に不安にならず、症状が出たときにも安心です。

教えてくれたのは……福山千代子先生
MET BEAUTY CLINIC院長。金沢医科大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医。婦人科と美容医療の両面から女性の心身の健康と美をサポート。女性誌をはじめ、さまざまなメディアで女性の体にまつわる情報を発信。

構成・文/和田美穂 イラスト/山中玲奈 

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