2024.03.19
蛍烏賊(ほたるいか)は俳句では晩春を表す季語。富山湾には毎年数百万匹のほたるいかが押し寄せ、産卵のために闇夜に浮上しては海岸に打ち上げられ、それらが青白くほたるのように輝くのだそう。一度現地に見に行ってみたいものです。ワインに合わせるなら、旬の菜の花といっしょににんにくと唐辛子をきかせた気軽なパスタで。発酵したアンチョビーのうまみをかくし味に加えます。
ほたるいかは、できれば目や軟骨、くちばし部分を取る下処理をすると口当たりが格段によくなって食べやすい。かるく洗って両わきの目をつまみ取る。足のつけ根に隠れているくちばしはかるく押し出してつまみ取る。軟骨は三角形の耳(えんぺら)の間に縦に入っているのでひっぱって取り出す。
鍋にたっぷりの湯を沸かして塩適宜を加え、ペンネ2人分を袋の表示どおりにゆでる。引き上げる30秒くらい前に食べやすく切った菜の花1束を加え、ペンネといっしょに引き上げて汁けをきる。ゆで汁はソースに加えるのでとっておく。
ペンネをゆでる間にソースを作る。にんにく1かけはみじん切りにし、唐辛子1本は種を取ってちぎる。オリーブオイル大さじ1を入れたフライパンに加え、ごく弱火で温める。シュワシュワと音がして香りがしてきたら火を止め、アンチョビーフィレ3切れを加えて木べらでつぶしながら余熱で溶かし混ぜる。アンチョビーがなじんだらパスタのゆで汁を加えて混ぜ、弱火にかけてソース状にし、ほたるいか2つかみを入れてかるく煮る。ほたるいかがふっくらしソースが煮つまってきたらペンネと菜の花を加え、火を止めてソースとペンネをよくからませる。最後に味をみて塩でととのえる。
ほたるいかのぷりっとした食感や独特の味わい、菜の花のほろ苦さに春を感じます。わたしはいつもつい具だけ先につまんじゃう。ワインもビールもすいすいすすむ、初春のけしからん一皿です。
馬田草織
文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。思春期真っ盛りの女子中学生と2人暮らし。最新刊「ムイトボン! ポルトガルを食べる旅」(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰。開催日などはインスタグラムからどうぞ。
インスタグラム @badasaori
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