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柔らかくてジューシー!「調理室池田」のスパイシースペアリブのレシピ

2024.05.03

「調理室池田 店のテーブル家のテーブル」第9回は、BBQやおもてなし料理にも活躍するスペアリブです。ゴールデンウィークまっただ中。なぜか毎日のようにごちそうを期待されてお疲れの人も多いのではないでしょうか。
スペアリブはいつからうちに登場したのだっただろう。うんと小さいときからテーブルに出ていたかといえばそうではなく、もう少し大きくなったときからだったと思います。圧倒的なごちそう感がありました。

「骨つき肉」の存在感はテーブルを華やかにし、大好きだったのですが、母は作るのがあまり好きでなかったと言います。味をしっかりつけたほうがもちろんおいしいのですが、同時に焦げつきやすくもなり、火を通すのがむずかしかったそうです。「作るのは気が重い」母がそう言うのもわかる気がするのでした。

スペアリブといえば、すぐに思い浮かぶのはアメリカのBBQ。とはいえ、野外でスモークチップを敷きながら数時間火を囲むような料理ですから、身近なお手本とはいえません。

しばらくして私が思いついたのは中華料理の東坡肉(トンポウロウ)方式でした。いわゆる豚の角煮ですが、東坡肉は先に肉をかたまりごとゆでて、その後煮汁で煮ます。ゆでて、その後数時間煮ても相当脂がある料理ですから、これはいけそうと……。試してみると、肉は柔らかく ほどよく脂が残り、驚くほどスペアリブという料理を簡単でかつおいしくしたのでした。
今回の料理は東坡肉のようにとろとろにする必要はないので、ゆで時間は最小限にとどめます。水からゆで、余熱も使いながらじんわり火を通し、味つけはゆで汁から引き上げてから。 料理名にある「ラブ」とは英語で書くと「rub」で、「すり合わせる」という意味です。ボールの中で調味料をすり込んだら、オーブンへ。おいしい焦げ目がついたらでき上がりです。
調味料にじっくり漬けなくても味はしっかりつくので、オーブンを予熱している間に少し置いておくくらいで大丈夫です。それと、すでに火は通っていて焦げ目をつけるだけなので、魚焼きグリルでも作れますよ。

この「rub」の作業をボールではなく保存袋の中でやればそのまま作りおきできますし、そう、ここまで作っておけばあとは焼くだけなので、野外でのBBQにもピッタリなのです。
ゆで汁には肉や香味野菜のうまみがしみ出ているので、わが家では野菜や調味料を少したして、スープにしていただいています。おまけのスープの作り方も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

『スペアリブのチャイニーズスパイシーラブ』のレシピ

材料(作りやすい分量)

豚スペアリブ……800~900g
下ゆで用の香味野菜※1……適宜

〈チャイニーズスパイシーラブ〉
花椒粉(ホワジャオフェン)※2……小さじ1/2
韓国産粉唐辛子(中びき)※2……小さじ1/4
にんにくのすりおろし……2かけ分
こしょう……小さじ1/4
塩……小さじ1
砂糖……大さじ1/2
しょうゆ……小さじ2

パクチーのざく切り……適宜

※1
下ゆで用の香味野菜は冷蔵庫にあるものでOK。ここでは、ねぎの青い部分1本分、しょうがの薄切り5枚、にんじんの切れ端1/4本分くらい、玉ねぎ1/4個を使用。
※2
(写真左)花椒粉
中国が原産の山椒の一種「花椒」を粉にしたもの。実が熟すと皮がはじけて花のように見えることから名がつけられた。かんきつ系のさわやかな香りと、舌がビリビリとしびれるような刺激的な辛みを持ち、麻婆豆腐などの四川料理に使われる。

(写真右)韓国産粉唐辛子
色鮮やかで香りがよく、辛さの中に甘みがあるのが特徴。見た目ほど辛くはない。焼き肉のたれ、炒めもの、あえものなど、さまざまな料理に使うことができる。

作り方

(1)スペアリブをゆでる
スペアリブは血のかたまりがあればペーパータオルで拭く。大きめの鍋にスペアリブ、下ゆで用の香味野菜を入れ、しっかりかぶるくらいの水を加えて中火にかける。煮立ったら弱火にし、アクを取って15分ほどゆでる。火を止め、そのまま15分ほどおいて粗熱を取る。
(2)調味料をすり込む
スペアリブはかるく水けをきり、ボールに取り出す(アクが多い場合は、水でさっと洗い流す)。チャイニーズスパイシーラブの材料を加え、手ですり込む。オーブンを200℃に予熱する。
(3)オーブンで焼く
オーブンの天板にオーブン用シートを敷いてスペアリブを並べ、200℃のオーブンで10~20分焼き色がつくまで焼く。器に盛り、パクチーを添える。 

「スペアリブのゆで汁で作る野菜のスープ」

残ったゆで汁を中火にかける。紹興酒(しょうこうしゅ)などの酒、薄口しょうゆ、塩を入れ、にんじん、ズッキーニ、じゃがいもなどの野菜をせん切りにして加えてさっと煮る。器に盛ってパクチーのざく切りを添える。


ゆでて味つけしたら焼き目をつけるだけ。しかもスープまで作れてしまうスペアリブ。味つけまですませておけばあとは焼くだけなので、晩ごはんのついでに作っておいて翌日焼いて食べたり、BBQに持っていったりと活用いただけるとうれしいです。

次回は5/17(金)更新。店のテーブルから、サンドイッチ用に作っている「スペインオムレツ」のレシピを紹介します。

撮影よもやま話


カメラにはデザインのすぐれたものが多いので、カメラ店に立ち寄るとついつい手をのばしてしまいます。たくさんの種類があるカメラですが、デザインの違いだけでなくそれぞれ機能と用途が異なりますから、好きな人はそれを言い訳に蒐集することになるのです。
ふだんはだれに見せるわけでもないスナップ写真を撮るので、操作が簡単で感覚的に撮影ができるレンジファインダーのフィルムカメラを使います。人様に見せる写真を撮るこの連載では背伸びして単焦点のレンズを身にまとったデジタルの一眼レフカメラを使っています。技術もないうえに機械音痴である私にはこれがなかなか手ごわくて「違う違う、そんなんじゃぁダメだよ」といつもカメラに振り回されている感じです。いつになったらしっくりくるのか。撮影にはいつも写真家の森山大道さんの言葉に励まされながら臨みます。「量のない質はない」と。 (文/池田講平)

調理室池田
調理室池田
2018年12月に川崎市にある中央卸売市場北部市場内に開店。アンティークショップ・アートギャラリーを兼ねた、市場には珍しいスタイルのカフェ。早朝から働く人がコーヒーを片手に手軽に食べられるようにと作った焼き菓子や、ツナサンド、フリットといった市場で仕入れる新鮮な魚介類を使ったランチが人気。
公式HP 公式インスタグラム 

神奈川県川崎市宮前区水沢1-1-1 川崎市中央卸売市場北部市場 関連棟 45 
営業日/月・火・木・金・土曜
営業時間/7:00~13:30
(ラストオーダーは13:00、土曜日のみ14:00)
ランチタイムは 11:45~ 休みは市場に準ずる(原則、水・日曜と祝日) 
※一般のかたの市場への入場は8時から。来店の際は必ず上記HPかインスタグラムを確認してください。

調理室池田 過去の連載はこちら

料理・文/池田宏実 撮影・スタイリング/池田講平 編集/小林

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