川津幸子さんのおうちごはんのヒント
キホンroom
きゅうりの輪切り
新米編集者のころ、きゅうりの輪切りの原稿を書いていたときのことです。いっしょに仕事をしていた先輩に、「実際は、切ったそばから、ころころ転がっていっちゃうんですよね」とぼやいたら、「あら、包丁をほんの少し内側に寝かせるといいのよ」というアドバイスが返ってきました。へえーっと、早速、家で試したところ、あら、不思議、輪切りのきゅうりが見違えるようにまな板の上でおとなしくしています。知らなかった、小さな煩わしさがなくなると、料理が面倒くさいという気持ちが消えて、やる気になるものだと妙に納得したのを覚えています。今は、無精をして、たいていスライサーで輪切りにしますが、ときどき、先輩に敬意を表して、包丁で切ることも。これから、酢の物、サラダと、きゅうりの輪切りの出番が増えるので、ふと思い出しました。
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