台所仕事room
1年に一度の邂逅
大好きな漆器のお椀と椿皿です。購入するとき、お店のおかみさんから、「毎日のごはんに使ってね」と言われたのに、お目見えするのは、お正月だけ。暮れになると、棚から箱を取り出し、薄紙を1枚1枚はずして、さっと洗います。すると、キッチンがパッと華やいで、もうすぐお正月と気持ちが浮き立ってきます。三が日使ったあとは、昔、母がしていたように、ふきんを使ってぬるま湯で洗い、よく乾かし、最後にもう一度からぶき。「また来年ね」と言いながら、薄紙に包んで箱へしまうのです。1年に一度、元気だから会える、そんな器があってもいいなと思います。
「今年も会えました」なんて言いながら、取り出すときは、わくわく。傷つけると縁起が悪いから、三が日、それはていねいに扱います。
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