グリーン・トマトとはもともと収穫前に間引きされる、熟す前のトマトのことで、アメリカ南部の黒人奴隷が口にすることができる野菜のひとつだったとか。映画「フライド・グリーン・トマト」は、そんな人種差別の背景がありながらも、物語はどこかおとぎ話のようなあたたかい人情物語。蒸気機関車が走るのどかな町並み、コーヒーとベーコンのにおいがする「駅前カフェ」の窓に書かれた「フライド・グリーン・トマト できたてを出します」のペンキ文字、そして作中に出てくるきつね色の衣に包まれたフライド・グリーン・トマト……。これを食べてみたいと思った人、多いだろうなぁ。
【 STORY 】
主婦エブリンはマンネリ化した夫婦生活にうんざりし、自己啓発セミナーなどに通う日々。ある日ボランティアででかけた病院で知りあった老女が語る昔話に引き込まれていく。それは、閉鎖的な30年代の南部の田舎町で、大胆に因習に逆らって、虐げられた黒人のためのレストランを開く勇気ある白人女性の話だった。
製作年:1991年
製作国:アメリカ
監督:ジョン・アブネット
出演:メアリー・スチュアート・マスターソン、ジェシカ・タンディ、キャシー・ベイツ、メアリー・ルイズ・パーカーほか
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かくいう私も、この大好きな映画のタイトルにもなったフライド・グリーン・トマトには興味があるものの、素直じゃないもので、「時代的背景がからんだ名物料理というだけで、とりたててうまいもんじゃないだろう」と思いこんでました。キャシー・ベイツがおいしそうに食べていようと「あれはたんなるノスタルジーか?」と。だけど、未知の味には興味しんしん。ということで、一度は食べてみたかったフライド・グリーン・トマトを作ってみました。
さて、作り方ですが、アメリカ料理を紹介しているサイト「コリスイン」にも良いレシピがありますが、原作小説本『フライド・グリーン・トマト』(二見書房刊)の巻末に「駅前カフェで出されるメニュー」と称したレシピが掲載されているので、より映画の世界を味わうために原作本のレシピどおりに作ることにしました。この本にはフライド・グリーン・トマトのほかにも、バターミルク・ビスケット、コーンブレッド、南部風フライド・チキンなどの南部料理のレシピがずらりで、そのひとつひとつに<おいしすぎて言葉も出ない><死ぬほどのおいしさ。食べたらそのまま天国へ行ってしまいそう!>などの大仰なコメントが添えられているのがなんだかアメリカンでおかしいの。

「セレブ・デ・トマト」の店長難波淳一さん。お世話になりました! 素敵なお店です。 |

手のひらにすっぽりおさまる「グリーンゼブラ」 |

ちっちゃいからふた口サイズ |

味付けはシンプルに塩・こしょうだけがいいの |

みなさん、粉系はこうやってシャカシャカしてつけるよね |

スペイン料理のピンチョスぽくもない? |
作るにあたり、ちょっと困ったのがグリーン・トマトの入手。東京にはたまたま昨年10月港区青山にオープンしたトマトとトマト料理の専門店「セレブ・デ・トマト」があるので、こちらで「グリーンゼブラ」(1個200円)という、果実が堅く青いままで収穫されるトマトを購入。ふつうに買うとしたら、スーパーや個人商店ではほとんど取り扱っていませんが、お店によっては市場や産地などから取り寄せてもらえることもあるかもしれません。あとは、産地直送のトマトの通販で「熟していない緑のトマトも混ぜてください」とお願いするといいかも。
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【フライド・グリーン・トマト】 材料(1人分)
・グリーン・トマト(中)1個
・塩、こしょう 各少々
・粗びきのとうもろこしの粉 適宜
・ベーコンの脂 適宜
1.トマトを約6ミリの輪切りにする
2.塩とこしょうで味をつけ、両面にとうもろこしの粉をまぶす
3.大きめのフライパンの底にいきわたるぐらいの量のベーコンの脂を中火で熱し、溶かす
4.トマトの両面がうっすら茶色になるまで強火で焼く
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さて、グリーン・トマトを輪切りにして、塩こしょうをふって、粗びきコーンの粉をまぶしつけて、フライパンに溶かしたベーコンの脂で揚げ焼きにするわけですが、ここでまた関門。「ベーコンの脂」で心が曇る。たっぷりのベーコンの脂を用意しろって、そりゃアメリカのカフェやダイナーでは一日じゅうベーコンを焼いて脂がたっぷり溜まるんでしょうが、日本の家庭では不経済きわまりない! ということで、ケチなうっちーはサラダ油にブロックベーコンの脂を加えて溶かした「ベーコン風味のサラダ油」を使いました。焼くときの注意点は、強火で表面をこんがりカリッと焼き、決してトマトに火を入れすぎないことかな(試作で失敗した教訓です)。
できあがり! キャシー・ベイツが老女にプレゼントしたフライド・グリーン・トマトをまねて、ひとつひとつにピック(というか、つまようじ)を刺してみました。ベランダのしおれたイタリアンパセリをいろどりに添えれば、まあ〜、なんだかおしゃれなオードブル。さて、気になるお味は・・・。これが、予想をはるかに上まわっておいしいの! いや〜、びっくりしました。グリーン・トマトのライムのようなすがすがしい酸味と香り、そしてちょっぴりのほろ苦さ。トマトのサクサク感もコーン衣のカリッとした歯ごたえもおいしくて、ビールが進んじゃって困ります! こんなちょっと変わったおつまみが出てきたら、映画の話題もからめて場が盛り上がりそうじゃないですか? フライド・グリーン・トマトと、コーンブレッド、南部風フライドチキンやパイなどをいっぱい焼いて、たっぷりのビールとポーカーでワイワイ……。そんな映画のワンシーンのようなホームパーティーをやってみたいな。まずはグリーン・トマトが手に入ったら、ぜひ作ってみてね。
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